古代トンボ玉とヴェネチアンビーズ展
─その輝きのルーツをたどる─

Exhibition Tracing the Glittering Roots of Ancient Glass Beads and Venetian Glass Beads 
2000年以上に渡って世界中の人々を魅了する、繊細で可愛いトンボ玉の世界をご紹介いたします。
 

古代トンボ玉とヴェネチアンビーズ展

会期:未定
古代ローマ帝国時代に飛躍的な発展を遂げるガラス素材で制作され、世界中に伝わっていった色彩豊かなトンボ玉。その中でも、人物の顔や目玉文のトンボ玉は、美しさを引き立てる装飾品としてだけではなく、災いや魔を払う力を秘めたお守りとしても人々に重用されていました。
古代ローマ帝国崩壊後、多彩な色ガラス棒を組み合わせて表現されたトンボ玉は、時を経て水の都ヴェネチアで復活し、19世紀以降、古来の技法を生かしながら、繊細優美なヴェネチアンビーズへと進化を遂げます。
本展では、古代トンボ玉とヴェネチアンビーズを中心に、古代トンボ玉から着想を得て現代作家が制作した作品や、失われようとしている技法で制作したビーズフラワーも特別展示し、2000年以上に渡って世界中の人々を魅了する、繊細で可愛いトンボ玉の世界をご紹介いたします。

お守りとしてのトンボ玉

現在、ネックレスなどに使用されているガラスビーズ(トンボ玉)は、今から約4000年前のメソポタミアなど、西アジアの地域が誕生の起源とされています。元々、ビーズは天然石や貝殻、動物の骨などを削り出して制作されていましたが、その後、ガラス製法の発達により、人工的な模様のものまで生み出すことが可能になりました。
古来において、ガラスビーズは装飾品としてだけではなく、「アミュレット(お守り)として災いや邪気を避ける力を秘めたものとされていました。東地中海沿岸域に位置したフェニキアでは、紀元前6世紀頃から人面のビーズや目玉文(同心円文)のビーズが制作されていましたが、これらの愛らしく可愛いいビーズが、病気や不幸をもたらすとされた妬み・嫉妬などの負の感情伴った「イービル・アイ」からの視線を逸らし、身に着けた人を守護する効果があると考えられていました。また同様に、鳥や獣、昆虫などの形をしたものも、神聖なもの、魔除けのシンボルとしてビーズのモチーフに使われました。
その後、自然界には存在しないような鮮やかで多様な形をしたビーズは、時代とともにお守りとしての意味は薄れ、時に権力の象徴として、時に人々の注目を集めるファッションアイテムとして、世界中の人々に受け継がれていくこととなりました。
人面装飾管玉

人面装飾管玉

B.C.6~B.C.3世紀
東地中海沿岸域(フェニキア)
人面装飾垂飾玉

人面装飾垂飾玉

B.C.4~B.C.2世紀
東地中海沿岸域(フェニキア)
同心円文青色丸玉

同心円文青色丸玉

B.C.6~B.C.4世紀
イラン(ペルセポリス)
羽根文丸玉

羽根文丸玉

B.C.1~B.C.1世紀
東地中海沿岸域
 

多彩な文様のトンボ玉

「人工の宝石」とも呼ばれるガラスが誕生してから、ガラス製の器は一部の特権階級の者のみが所有できる貴重品として制作されていました。しかし、紀元前1世紀頃の古代ローマ帝政期に入ると、それまでの型によるガラス成形のほか、吹きガラス技法が現在のシリアにおいて発明され、大きさや形も自由自在に制作可能となり、大量のガラス器が流通するようになりました。そして、それまでの型を用いて制作されるモザイク・グラスは高級ガラスとして、エジプトのアレキサンドリアなどの工房で紀元後1世紀頃まで引き続き制作される事となりました。
モザイク・グラス技法によるガラス器の表現も紀元前後の古代ローマ帝政期に最盛期を迎え、細密画のように繊細な文様まで、金太郎飴のように色ガラスを組み合わせて表現できるようになりました。またモザイク・グラス技法は、高級ガラス器だけではなく、ガラスビーズの制作にも応用され、繊細な草花文やらせん文、古代ローマの壁画を思わせる格子文、そしてお守りの効果を込められた人物文に至るまで多彩な文様のビーズが生み出され、当時の貴婦人たちを魅了したと考えられています。

花弁文白色丸玉

花弁文白色丸玉

B.C.1~B.C.1世紀
東地中海沿岸域
リボン・グラス丸玉

リボン・グラス丸玉

B.C.1~B.C.1世紀
北ヨーロッパ
格子文多色丸玉

格子文多色丸玉

B.C.1~B.C.1世紀
東地中海沿岸域
首飾女性文白色丸玉

首飾女性文白色丸玉

B.C.1~A.D.1世紀

現代作家によるビーズ作品

約4000年以上古代から作り続けられているトンボ玉は、時代に応じて用途や形状は変化しながらも、その愛らしさで世界中の人々を虜にしてきました。
本展では、現在まで受け継がれた古代トンボ玉やモザイク・グラスのデザインを現代の作家たちがアレンジした作品をはじめ、19世紀から20世紀初頭にヴェネチア・ムラーノで盛んに制作され、現地では既に失われてしまったビーズフラワーの製法をいまに受け継ぐ日本人作家の作品も特別展示し、古代から現代、そして世界規模に広がるトンボ玉(ビーズ)の魅力をご紹介させて頂きます。
アクセサリーデザイナー パオラ パスクァリン
アクセサリーデザイナー パオラ パスクァリン
人面装飾ビーズのネックレス

人面装飾ビーズのネックレス

2020年 ヴェネチア
パオラ パスクァリン作
人面装飾ビーズのネックレス

人面装飾ビーズのネックレス

2020年 ヴェネチア
パオラ パスクァリン作
ビーズフラワーデザイナー 下永瀬 美奈子
ビーズフラワーデザイナー 下永瀬 美奈子
バラの誓い Purezza Rosa

バラの誓い Purezza Rosa

2020年 日本
下永瀬 美奈子 作
時を越えて Tempo Eterno

時を越えて Tempo Eterno

2020年 日本
下永瀬 美奈子 作
 
主催 ヴェネチア市立美術館総局、箱根ガラスの森美術館、毎日新聞社
後援 イタリア大使館、イタリア文化会館、箱根町
協力 箱根DMO(一般財団法人 箱根町観光協会)、小田急グループ

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