─炎と技の芸術─ ヴェネチアン・グラス至宝展
箱根ガラスの森美術館 開館25周年特別企画
─炎と技の芸術─ ヴェネチアン・グラス至宝展
これまで箱根ガラスの森美術館では、様々な切り口からヴェネチアン・グラスの展覧会を開催して参りました。この度、過去に行った展覧会の中で、皆様の記憶に残る名品を厳選してご紹介するとともに、ヴェネチアン・グラスから影響を受け、新たな作品を生み出している日本とイタリアの現代作家の作品も併せてご紹介させて頂きます。
プロローグ ヴェネチアン・グラスの源流
1章 ヴェネチアン・グラスの隆盛
ヴェネチア共和国は1291年からガラス職人とその家族をムラーノ島に移住させ、技術の流出を防ぐ強固な保護政策を図り、15世紀にはヨーロッパのガラス産業を独占するに至ります。軽やかなヴェネチアン・グラスはヨーロッパ中の王侯貴族の羨望の的となり、各家の紋章を入れたガラス器が盛んに制作され、祝宴の席で用いられるようになりました。中でもヴェネチアン・レースなどから着想を得たとされる繊細優美なレース・グラスは、ヴェネチアン・グラスの代名詞とされました。
2章 ヴェネチアン・グラスの復活
17世紀に入るとボヘミアン・グラスをはじめとする他国のガラス産業の隆盛や、続くナポレオンの進行によるヴェネチア共和国の崩壊(1797年)により、ヴェネチアン・グラスは衰退の危機に瀕します。そのような激動の時代、過去のガラス技法を研究し、古代のモザイク・グラスや、黄金時代のヴェネチアン・グラスを復活させる職人たちが現れます。中でもジュゼッペ・バロヴィエール(1853-1942)は、過去の名品の再現に留まらない、「風にそよぐグラス」に代表される超絶技巧の作品制作に成功しました。新たな作品を生み出そうと挑戦する彼らの情熱は、第二次大戦後、エジディオ・コスタンティーニ(1912-2007)に引き継がれます。彼の活躍によって、パブロ・ピカソやマルク・シャガールといった芸術家とガラス職人の競演によるガラス彫刻が生み出されました。
龍装飾水差
19世紀|ヴェネチア|サルヴィアーティ工房
エピローグ ヴェネチアン・グラスの新たな可能性
およそ1000年にわたり水の都で育まれたヴェネチアン・グラスは、現在、ヴェネチアのみならず、世界中のガラス作家に多大な影響をもたらしています。本展覧会では、ヴェネチアン・グラスの名品に込められた往時の職人たちの情熱と彼らの技術を受け継ぎ、新たな作品への挑戦を続ける作家たち…特に、既にヴェネチアでは途絶えてしまったヴェネチアン・ビーズ・フラワーの製法を今に伝える下永瀬 美奈子、ヴェネチアの伝統技法と和の心を融合させた作品を生み出す小西 潮、江波 冨士子。そして、ヴェネチアンビーズを独特の感性のよって、斬新なコスチューム・ジュエリーに仕上げるパオラ パスクァリンの4人のアーティストに焦点を当て、ヴェネチアン・グラスの新たな可能性に迫ります。
※出品作品は変更の可能性がございます。

特別企画展 音声ガイドアプリ
※展示会場内ではイヤホンを着用の上、ご視聴ください。

ゴールデンウィーク作品鑑賞ガイド
4月29日からゴールデンウィーク期間中、「開館25周年記念 炎と技の芸術 ヴェネチアン・グラス至宝展」の展示作品をより深く楽しみながら学べるように、クイズの掲載された鑑賞ガイドをヴェネチアン・グラス美術館の入り口にて無料で配布します。挑戦してくれた幼児・小中生のお客様には、ガラスのブローチを5色の中から1つプレゼント。
※一般の方にも鑑賞ガイドは配布(注:ブローチのプレゼントは幼児・小中生のみ)
主催 | 箱根ガラスの森美術館、毎日新聞社 |
後援 | イタリア大使館、イタリア文化会館、箱根町 |
協力 | 箱根DMO(一般財団法人 箱根町観光協会)、小田急グループ |