2019年クリスマス企画展
ヴェネチアン・グラスで読み解くクリスマス物語~Buon Natale~

Understanding Christmas Stories through Venetian Glass~Buon Natale~
ヴェネチアン・グラスで表現したプレセピオやサンタクロースのモデルとなった聖人ニコラウスをモチーフにした作品などクリスマスに関わるヴェネチアン・グラスを展示します。

ヴェネチアン・グラスで読み解くクリスマス物語~Buon Natale~

会期:2019年12月1日(日)から12月25日(水)まで
今や世界中の人々が祝うようになったクリスマス。日本では親しい人たちとご馳走を囲んで賑やかに過ごしますが、イタリアでは敬虔なカトリック教徒が多く、家族そろって教会でミサに参加し、とても厳かに過ごします。また日本では、クリスマスツリーや電飾を飾り付けてクリスマス当日まで祝う一方、イタリアでは、「プレセピオ」と呼ばれるキリストの生誕場面を表現した人形を飾り付け、翌年の1月6日までクリスマス期間が続きます。
このようにクリスマスは、世界の人々にとって馴染み深い祭りの1つになりましたが、各国でクリスマスを祝う期間や当日の過ごし方、クリスマスの料理、飾り付けなどが少しずつ異なり、それぞれの特徴が見られます。
今回の展覧会では、イタリアのクリスマスを中心に各国のクリスマスの話題も紹介しながら、クリスマスに関する3つの物語をヴェネチアン・グラスで読み解きます。
磔刑図 18世紀 ヴェネチア

物語1「クリスマスは何の日?」

クリスマスは、イエス・キリストがこの世に生まれたことを祝うための日であり、キリスト教を信仰する人々はこの日を1年で最も大切にしています。
約2000年前、イエス・キリストはベツレヘムの小さな馬小屋で、父ヨセフと母マリアのもとに生まれました。天使や星のお告げに導かれて、羊飼いや東方から三人の博士たちが、次々とキリストのもとを訪れ、喜びと感謝の気持ちを伝えました。キリストの誕生がこの世を照らす明るい光となり、幸せをもたらしたことに感謝するため毎年12月25日を祝うようになりました。クリスマスが近づくと、ヨーロッパでは大人から子供へとこうしたクリスマスの意味が伝えられています。
この章では、ヴェネチアン・グラスの伝統的な技法を駆使して作られたガラス人形作品とともに、キリストの誕生の物語をたどります。また、各国のクリスマスのお祝いに欠かせない伝統菓子や飾りつけなどについても紹介します。
「プレセピオ」 20世紀 ヴェネチア

「プレセピオ」 20世紀 ヴェネチア

 

物語2「サンタクロースはどんな人?」

クリスマスには、サンタクロースもなくてはならない人物の一人です。大きな体に白く縁取られた赤い服の優しい顔をしたサンタクロースは毎年、私たちに贈り物とともに幸せを届けてくれます。
そのモデルは、4世紀にミュラ(現トルコ周辺)の港町で司教を務めていたニコラウスと言われ、今でも女性や子供、船乗りを守る聖人として慕われています。この聖人の人柄や逸話を基に、時代や場所によって呼び方、容姿などが少しずつ変化しながら、現在の人物像が出来上がってきました。
この章では、サンタクロースのモデルとなった聖人ニコラウスが描かれたヴェネチアン・グラスの作品とともに、世界各国の子供たちに贈り物を届ける人たちについても紹介します。

「バーリの聖ニコラウス文聖水瓶」 16世紀 ヴェネチア

「バーリの聖ニコラウス文聖水瓶」 16世紀 ヴェネチア

 

物語3「ミサはどんなことをするの?」

クリスマス「CHRISTMAS」の語源は、キリストを表す「Christ」とミサ(礼拝)を表す「Mass」を合わせた言葉で、それが意味するように、ミサはクリスマスに欠かせない儀礼の1つです。
信仰を大切にしているヨーロッパの人々は、12月24日の夜は家族揃って教会へ出かけ、クリスマスミサに参加し、12月25日も家族と静かに過ごします。ミサは、クリスマスイブやクリスマス当日に数回行われ、牧師や神父の話を聞き、賛美歌を合唱しながらイエス・キリストの生誕に感謝と祈りを捧げます。イタリア・ローマに隣接するバチカン市国には、カトリック宗派の総本山サンピエトロ大聖堂があり、毎年キリストの誕生を祝うため世界中から多くの人が集まります。
この章では、ヨーロッパの人々が参加するクリスマスのミサについても触れながら、キリスト教にまつわるモチーフで作られたヴェネチアン・グラスの作品を展示します。

「ダイヤモンド・ポイント彫りアンポリーナ(ミサ用葡萄酒瓶)」 16世紀末-17世紀初 ヴェネチア

「ダイヤモンド・ポイント彫りアンポリーナ(ミサ用葡萄酒瓶)」 16世紀末-17世紀初 ヴェネチア

 
主催 箱根ガラスの森美術館

ページトップ