2020年クリスマス企画展
Buon Natale! 幸せを運ぶヴェネチアン・グラス

 
 
ガラスの人形プレゼピオなどクリスマスにちなんだヴェネチアン・グラスを展示いたします。

Buon Natale! 幸せを運ぶヴェネチアン・グラス

会期:2020年12月1日(火)から12月25日(金)まで
世界中が最も困難な状況に見舞われている今、すべての人々が幸せなクリスマスと新年を迎えられるよう「幸せを運ぶヴェネチアン・グラス」をテーマに作品を展示します。
クリスマスの起源でありすべての人に幸せを運ぶとされるイエス・キリストの誕生を表現したガラスの「プレゼピオ」をはじめ、イタリアで幸せを運ぶと伝えられるモチーフや色彩に関連したヴェネチアン・グラスをご紹介します。
果物装飾角形坏 (19世紀|ヴェネチア)
果物装飾角形坏 (19世紀|ヴェネチア)

第1章「クリスマスの起源」

―すべての人々に幸せをもたらすキリストの誕生―

クリスマスは、イエス・キリストの誕生がこの世を照らす明るい光となり、幸せをもたらしたことに感謝をするためにお祝いをするようになったのが始まりです。キリストは、約2000年前、ベツレヘムの小さな馬小屋で、父ヨセフと母マリアのもとに生まれました。すべての人に幸せを運んでくれる神様の子が生まれたという天使のお告げや星の輝きに導かれて、羊飼いや東方から三人の博士たちが、次々とキリストのもとに祝福に訪れ、贈り物をしていきました。この章では、ヴェネチアン・グラスの伝統的なレース・グラスやミルフィオリ・グラス技法を用いたキリストの生誕場面を表現したガラス人形作品とともに、人々が待ちわびたキリストの誕生の物語をたどります。
プレゼピオ(20世紀|ヴェネチア)

プレゼピオ(20世紀|ヴェネチア)

 

第2章「人々の幸せを願うクリスマスのミサ」

クリスマス「CHRISTMAS」という語源は、キリストを表す「Christ」とミサ(礼拝)を表す「Mass」を合わせた言葉で、それが意味するように、ミサはクリスマスに欠かせない儀礼の1つです。信仰を大切にしているヨーロッパの人々は、12月24日の夜は家族揃って教会へ出かけ、クリスマスミサに参加し、12月25日も家族と静かに過ごします。ミサは、クリスマスイブやクリスマス当日に数回行われ、神父や牧師の話を聞き、賛美歌を合唱しながらイエス・キリストの生誕に感謝と祈りを捧げます。イタリア・ローマにあるバチカン市国には、カトリック宗派の総本山サン・ピエトロ大聖堂があり、毎年キリストの誕生を祝うため世界中から多くの人が集まります。世界的な困難に見舞われている本年は、多くの人々が一刻も早い事態の収束を願い、幸せに祈りを捧げることでしょう。この章では、キリスト教のミサにまつわるモチーフで作られたヴェネチアン・グラスの作品を展示します。

ダイヤモンド・ポイント彫りアンポリーナ(ミサ用葡萄酒瓶)

(16世紀末-17世紀初|ヴェネチア)

ガラス絵(磔刑図)

(18世紀|ヴェネチア)
 

第3章「ヴェネチアン・グラスにみる幸せを運ぶモチーフ」

イタリアには、「Porta fortuna ポルタ フォルトゥーナ (幸せを運ぶもの)」という言葉があります、幸運をもたらすと考えられている物や動物、厄除けなどを大切にする文化があり、松かさや角などを身の周りに置くことで、幸せを呼び込むと考えられています。赤色は軍神マルスを象徴する色として尊ばれ、ローマ帝国時代に兵士たちがその加護を得るために下着を赤色に染めて魔除けにしたという伝統から大切にされてきました。そのため、イタリアには新しい年を無事に迎えられるようにと大晦日に赤い下着を身に付ける習慣があり、クリスマスには親しい人に赤い下着を贈ります。そのほかにも地中海貿易で船に乗ることが多かったヴェネチアでは、サンタクロースのモデルとして知られている聖人ニコラウスを、航海の守護聖人として大切にし、その加護を受けられるようヴェネチアン・グラスにも取り入れてきました。この章では、幸せな新年を迎えられるようにとの願いを込めて、イタリアで幸せを運ぶとされる松かさや角、赤色、そしてクリスマスにちなんで聖ニコラウスが表現された作品を紹介します。

ドルフィン形脚赤色コンポート

(19世紀|サルヴィアーティ工房|ヴェネチア)

松笠形ランプ

(17世紀|ヴェネチア)
 
本展覧会は、神奈川県の文化芸術活動再加速化事業補助金を受けて実施しています。

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