「春を呼ぶヴェネチアン・グラス」
~カーニバルと春めく祝祭~

ヴェネチアン・グラスの四季 ~FOUR SEASONS~
春季所蔵作品展 春の訪れを感じさせる華やかな装飾のヴェネチアン・グラスをご紹介致します

会期:2023年1月21日(土)~4月16日(日)

ヴェネチアの街が一年の内で一番華やかに輝くカーニバルの季節(2023年は2月4日~21日)。赤、青、黄色の紙吹雪が舞い、子供たちは人気のキャラクターに変身、大人たちは18世紀の貴族衣装に身を包み、カフェでくつろぐ…。夜ともなれば、あちらこちらでパーティーが催され、ドレスコードは、仮面をつけて「誰でもない私」になること。きらきらと華やぐ宴の席は、美味しいワインと余興で盛り上がり、人々は幻想的なひとときに酔いしれます。

コメディア・デラルテ 20世紀 ヴェネチア

カーニバルが終わると、気候も緩み、日に日に暖かさを増して春の陽気が近づいてきます。この日からカトリック教徒の多いイタリアでは、四旬節と呼ばれる節制の時期に入ります(2023年は2月22日~4月8日)。この期間は、キリストの荒野での40日の修行になぞらえ、かつては肉や卵、甘いお菓子などを食べる事が禁じられました。

トリック・グラス 19世紀 ヴェネチア
ドラゴン装飾脚ゴブレット 19世紀 ヴェネチア

そして春の代名詞となっているのが、復活祭です。復活祭はイエスが復活した事を祝う祭りでキリスト教ではクリスマスに並び大切にされている祝日(2023年は4月9日)です。
今回の展覧会では、初春から晩春にかけての年中行事、カーニバルを中心に、四旬節、復活祭に注目し、トリック・グラスや変わった形のグラス、ヴェネチア仮面喜劇(コメディア・デ・ラルテ)の人形など、ヴェネチアのカーニバルの熱気が伝わってくるような作品をご紹介。さらに春の訪れを感じさせる華やかな装飾のヴェネチアン・グラスをご紹介致します。

春(プリマヴェーラ)
下永瀬 美奈子 2021年 日本
花装飾脚オパールセント・グラス・ゴブレット
1880年頃 ヴェネチア
また、それぞれの年中行事には切っても切り離せないお菓子があり、それらもまた祝祭を盛り上げる大切なものとなっています。じっくり時間をかけ、手をかけて作る祈りの込められたお菓子から、大勢のお客様にたっぷりと振舞えるように手軽に作れる揚げ菓子など。地方色も色濃く残るイタリア各地の特徴が反映され、いつの時代も人々の口を楽しませてきた祝祭のお菓子たちを小パネルでご紹介いたします。
イタリアの行事とお菓子
「父の日のゼッポレ」Zeppole di San Giuseppe (ゼッポレ ディ サンジュゼッペ)

揚げたシュー生地にカスタードクリームをたっぷりのせ、シロップ漬けのチェリーで飾ったゼッポレ。イタリアの父の日に食べられるお菓子です。
イタリアの父の日は毎年3月19日。この日は、イエス・キリストの養父ヨセフ(イタリア語でジュゼッペ)の祝日です。イエスを育てたヨセフは聖人に列せられ、その祝日は、カトリックの多いイタリアでは、父の日として、父親に感謝する日となっています。
なぜ、父の日のお菓子が揚げ菓子なのかというと、イエスが生まれた後、ヘロデ王の迫害を恐れ、エジプトに避難した際に、ヨセフは本業の大工ではなく、揚げ物屋をしていたとか、エジプトから戻る際に神から揚げ物屋の職業を与えられたなどといった俗説があり、揚げ物屋さんの守護聖人となっているから。
ゼッポレの発祥は南イタリアで、南イタリア10州それぞれに特徴があります。揚げたシュー生地にカスタードとシロップ漬けのチェリーがのるスタイルは、ナポリが発祥と言われています。

同時開催 写真展「坪谷 隆が写すカーニバルの世界」

写真:坪谷隆「希望」

写真:坪谷隆「希望」

写真展 
会期:2023年1月21日(土)~3月31日(金)

水の都ヴェネチア。16世紀から変わらぬ街並みはその悠久のときを今に伝えています。毎年2月には、迷路のような街を彩るカーニバルが行なわれ、参加者は舞台の役者さながらに思い思いの衣装に身を包み、サン・マルコ広場に集います。
仮面やフェイスペインティングに隠されて、素顔をうかがい知ることはできませんが、大人だけでなく小さな子供からもこのカーニバルに参加する喜びと、熱気がカメラのファインダー越しに伝わってきました。
本場のヴェネチア カーニバルの空気、時間、そして情熱をこれらの写真を通して、日本の皆様にも感じ取って頂けましたら幸いです。
坪谷 隆(写真家)TAKASHI TSUBOYA
坪谷 隆(写真家)TAKASHI TSUBOYA
1949年 東京生まれ

学生時代より写真に興味を覚え卒業後、単身渡米New Yorkで(CFプロデュ-サー兼アートディレクター、写真家)のジョージ ナカノ、後にヴォーグ誌,ハーパースバザー誌、マリークレール誌等で活躍していた写真家のブルース ローレンスの両氏に師事。4年間のNewYork滞在後、1976年帰国。
翌年、月刊コマーシャルフォト誌(玄光社)の特集“若手海外体験派カメラマン”として表紙写真と体験記事が掲載された。後に大手アパレルメーカー、化粧品会社、雑誌広告等幅広い企業から撮影依頼をうけ現在にいたる。

※出品作品は変更となる可能性がございます。

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