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展示作品のご紹介:二重円圏カット装飾香油瓶

二重円圏カット装飾香油瓶
(9~10世紀|イラン~中央アジア│高砂コレクション®)

イスラーム時代のガラス生産は前代の技術を引き継いだものが多く見られるが、カット技法もその一つである。なかでも二重円圏文カットは華やかな文様である。サーサーン朝時代には大ぶりの碗に施されることも多かったが、イスラーム時代には香油瓶のような小瓶の装飾に多く用いられた。

この作品は表面の一部が銀化し、美しい輝きを放っている。

■銀化とは
ガラスが地下水などの影響を受けて脱アルカリ化し、表面に雲母のように薄い膜が無数に生じる風化現象のこと。この膜に光があたると乱反射したり、干渉したりしながら、銀色や玉虫色に輝くので「銀化」とよばれる。古代ガラスが必ずしも銀化するわけではなく、長い時間と土中の条件が揃って初めて起こる。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

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