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展示作品のご紹介:マーブル装飾扁壺

マーブル装飾扁壺
(12~13世紀|シリアあるいはエジプト│早稲田大学 會津八一記念博物館 小野義一郎コレクション)

扁平形のガラス壺で、首部が上に向かって細くなっている。このような形状はイスラーム時代に普及した薔薇水を入れる容器によく見られる。琥珀色のガラス表面に白色のガラスを巻き付け、上下の方向に引っ搔く事で羽根のようなマーブル文を表現している。このような文様は紀元前1世紀頃まで東地中海沿岸で制作されたコア・グラスによく見られる装飾法で、吹きガラスの装飾にも受け継がれた。
この作品は表面の一部が銀化し、美しい輝きを放っている。
※10/14まで展示

■銀化とは
ガラスが地下水などの影響を受けて脱アルカリ化し、表面に雲母のように薄い膜が無数に生じる風化現象のこと。この膜に光があたると乱反射したり、干渉したりしながら、銀色や玉虫色に輝くので「銀化」とよばれる。古代ガラスが必ずしも銀化するわけではなく、長い時間と土中の条件が揃って初めて起こる。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

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