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鋳造パテラ形杯
(紀元前1~紀元後1世紀│東地中海沿岸域│早稲田大学 會津八一記念博物館 小野義一郎コレクション)
杯全体が長年の風化作用により侵食され、光を反射、干渉する銀化現象がみられる。光を透過するとガラス本来の色である薄緑色を現す。この形状の杯は、形が似ていることから膝蓋骨を意味する「パテラ」形と呼ばれている。また本作は整った形をしており、型を用いる鋳造で成形されたと考えられる。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

展示作品のご紹介:Mumbai

展示作品のご紹介:Mumbai
(2017年|日本/橋本千毅│個人蔵)
乾漆技法により制作されたペンダントプレートに、異国情緒を感じさせる孔雀の羽根からデザインした文様をあしらっている。貝殻から削り出した真珠層のうち、青から緑の波長の微細な貝片を敷き詰めている。作品に使用できる貝片はアワビの貝殻100~200gから、わずか0.1g~0.2gしか取れない。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

展示作品のご紹介:長頸香油瓶

長頸香油瓶
(1~3世紀│東地中海沿岸域│高砂コレクション®)
約4000年前に生まれ、貴重品だったガラス。当初は耐火粘土に熔けたガラスを巻き付けて成形した小さな瓶が主流でした。ガラス工芸に革命が訪れたのは約2000年前、古代ローマ帝国で「吹きガラス」技法が発明された事によります。吹き竿の先に熔けたガラスを巻き付け、息を吹き込んで成形するこの技法により、ガラスの大量生産が可能となり、多くの人々に届くようになりました。
この細長い首のガラス瓶は、香油を入れる容器として使われました。香油は植物などから抽出した香りを油に移したもので、地中海世界の人々が好んで使用していました。
ガラス表面にご注目ください。この幻想的な輝きは「銀化」と呼ばれ、長年地中に埋もれていたガラスが風化し、層状に変化したガラス表面に光が反射することで生まれる虹色のきらめきです。
様々な角度から、移ろう神秘的な美しさをご覧ください。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

展示作品のご紹介:龍装飾水差

龍装飾水差
(19世紀|ヴェネチア)
宙吹き、レース・グラス、熔着装飾、金箔熔着

東洋の影響を感じさせる龍の装飾がついた水差。アヴェンチュリンのレース・グラス棒と水色ガラス棒を交互に配したレース・グラスで作られている。脚は金箔熔着したホローノップ、台は坏身と同じパターンで作られている。
龍は、無色透明ガラスに金箔熔着、縦モールをつけて形作られており、赤い舌、黄色に黒い目玉の目がつけられている。龍は装飾的な把手となっている。開口部は外側に、台の縁は底側にそれぞれ折り返してある。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

展示作品の御紹介:長頸瓶

長頸瓶
(1世紀~3世紀|東地中海沿岸域)
吹きガラス技法によって制作された香油を入れる長頸瓶。
元々はガラスに含まれる鉄分の影響で半透明の薄緑色のガラス器であったと思われるが、「銀化」と呼ばれる長年の風化作用のため、器の所々が剥落、角度によって様々な波長の光を反射することで玉虫色の輝きを放っている。
銀化は特定の条件がそろった際にガラスに起こる現象のため、自然が生み出した芸術とも言える。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

フラスコ形香油瓶
(1~3世紀|東地中海沿岸域│高砂コレクションⓇ)
香油は高価な乳香や没薬ばかりではなく、様々な芳香植物を油に漬け込んで香をうつしたものが用いられるようになり、香の使用は拡大した。本作品の美しい銀色は銀化と呼ばれるガラス表面の化学変化で、製作時には見られないものが、2000年の時によって生まれたものである。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

春 ガラスビーズ・フラワー
(2021年~2024年│下永瀬 美奈子)
18世紀頃に生み出された「コンテリエ」と呼ばれる極小ガラスビーズは、ネックレスをはじめ、ドレスやバッグの装飾として20世紀初頭のファッションを彩った。
また、コンテリエ・ビーズ製の造花「ビーズフラワー」も、ムラーノ島の伝統工芸として数十年前まで職人の手で制作されていたが、その後、機械化生産の波が押し寄せ、伝統のビーズフラワー制法は失われてしまう。
下永瀬美奈子は、ムラーノ島最後のビーズフラワー職人から歴史と伝統を受け継ぎ、フォーミングという技法を用いて、より躍動感のあるビーズフラワーの造形を試みている。

コア・グラス双耳香油瓶
(紀元前2世紀~紀元後1世紀|東地中海沿岸域)
コア・テクニックで作られたガラスはコア・グラスと呼ばれる。金属棒に耐火粘土でコアと呼ばれる芯を作り、その周りに熔けた色ガラスを巻き付けて成形する。そして冷ましてガラスが固まった後に、内部の耐火粘土を掻き出して器に仕上げていた。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

特別企画展「軌跡のきらめき~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
音声ガイドはhololive DEV_IS「ReGLOSS」の儒烏風亭らでん氏にご担当いただきます。

■音声ガイド(無料・全14作品)
会場内のQRコードをスマートフォンで読み取り、展示作品の解説をご鑑賞いただけます。専用アプリ不要、通常のブラウザでご利用可能です。
※会場内ではイヤホンをご使用いただくか、音量を下げてご鑑賞ください。電波状況が不安定な場合は、FREE Wi-Fiをご利用いただけます。

会期:2025年7月18日(金)~2026年1月12日(月・祝)

コア・グラス香油瓶
(紀元前6世紀~紀元前5世紀|東地中海沿岸域)
吹きガラス技法が始まる以前のガラス成形法である、コア・テクニックによる香油瓶。ガラス製造の歴史は、4000年以上前に小さな装飾品から始まり、紀元前16世紀中頃から西アジアやエジプトで容器が制作されるようになった。この作品は、ラピスラズリのような色合いの本体に、黄色や水色のガラスを巻き付けて装飾している。
ラピスラズリは、人類が宝飾品や顔料として使用してきた最古の鉱物の一つと考えられており、ツタンカーメンの黄金のマスクにも使用されている。ガラスの用途の起源が貴石などの代用品であったことから、青色系統のガラス容器が多く作られた。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

プロフィール

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箱根ガラスの森美術館
箱根ガラスの森美術館は、緑豊かな箱根仙石原にあるヴェネチアン・グラス専門の美術館です。

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