Blog 箱根ガラスの森美術館ブログ

アヴェンチュリン・グラス・ゴブレット
(1900年頃|ヴェネチア)
砂金のように輝くアヴェンチュリン・グラスを用いて制作した、線状模様のレース・グラスのゴブレット。
17世紀に発明されたアヴェンチュリン・グラスは、19世紀初頭にピエトロ・ビガリア(1786-1876)らの復元によって再度注目を集めた。19世紀中頃のサルヴィアーティ工房の作例に、この作品のような脚部に獅子文が型押しされたゴブレットが登場する。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
※2025年9月30日(火曜日) 施設整備のため休館いたします。

アヴェンチュリン・マーブル・グラス碗
(17世紀|ヴェネチア)
マーブル・グラスの表面に、アヴェンチュリン・グラスを熔着し、鉱石のなかで輝く砂金のような模様を表現している。マーブル・グラスは15世紀後半にヴェネチアの名工アンジェロ・バロヴィエール(1400-1460)によって発明されたと伝えられているが、アヴェンチュリン・グラスの発明は17世紀に入ってからのことであった。イタリアのガラス工芸史家ルイジ・ゼッキンの説によると、その発明はジョヴァンニ・ダルディウム(1586-1654)によるものだという。ヴェネチアのマーブル・グラス(カルチェドーニオ・グラス)は、当時のイタリアをはじめヨーロッパの人々が、ヴェネチアン・グラスの中で最も貴重視するガラス器の一つであった。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)

マーブル・グラス・デカンター
(16~17世紀|ヴェネチア)
15世紀末から17世紀にかけてヴェネチアで作り出されたマーブル・グラスは、色彩が微妙に変化する美しさが注目された。この独特の色模様は、ガラスに混入した銀イオンの熱による変化によって生じたもので、一種の耀変ガラスである。実際に原料代も高く、制作にも特別な仕様が必要であった。とくにヴェネチアのガラス工房では、この種のガラスを「カルチェドーニオ(玉髄)」と称して、極めて高い評価を与えており、光を透過すると美しい夕日のような赤色を発色する。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
自然が生み出す神秘的な色彩と輝きは、いつの時代も私たちを虜にし、職人たちの創作の原動力となってきました。本展ではガラスと貝細工という異なる工芸作品を通して「きらめきと色彩の神秘」に迫ります。

ダイヤモンド・ポイント彫りレース文坏
(16世紀|ヴェネチア)

坏身にヴェネチアン・カットワーク・レースの文様を線刻した脚部の高いガラス坏。ヴェロネーゼやカラヴァッジョの絵画中にも、この形状の無色透明なガラス坏に葡萄酒が注がれた様子が描かれている。
ガラス脚部にはヴェネチア共和国を象徴する型吹きされた獅子面の中空ステムが付けられ、台部にも線刻が施されている。16世紀初めに、ヴェネチアから始まったダイヤモンド・ポイント彫りは、元々ヴェネチアの名高いレースの美しいデザインをガラスにうつし入れようとして創案されたもので、ダイヤモンドの尖端を使って透明なガラスの表面に細かい線を彫刻する方法である。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

特別企画展音声ガイド

特別企画展「軌跡のきらめき~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
音声ガイドをhololive DEV_IS「ReGLOSS」の儒烏風亭らでん氏にご担当いただきます。

■音声ガイド:14作品、約20分(無料)
会場内のQRコードをスマートフォンで読み取り、展示作品の解説をご鑑賞いただけます。専用アプリは不要で、通常のブラウザでご利用可能です。 ※会場内ではイヤホンのご使用、または音量を控えてご鑑賞ください。電波が不安定な場合は、FREE Wi-Fiをご利用いただけます。

会期:2025年7月18日~2026年1月12日
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

8月31日までの夏休み期間中、特別企画展の内容を楽しみながらより深く学べるように、展示作品に関するクイズが掲載された「鑑賞ガイド」をヴェネチアン・グラス美術館の入口にて配布します。
● 受付時間:10:00~16:30

ガイドの中のクイズに挑戦してくれた幼児・小・中学生のお客様にはガラスのピンブローチをおひとつプレゼントします。

鑑賞ガイド 5才から7才

鑑賞ガイド 8才から12才

鑑賞ガイド 13才から15才

真珠層を持つ貝

美術館入口に展示されている、関東沿岸に生息する真珠層を持つ貝。食用酢で表面の石灰層を溶かして真珠層を出しています。
表面処理前のアワビ(千葉県勝浦産)がとても大きいです。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

自然の神秘的な色彩と輝きは、職人の創作の源。
本展では、銀化した古代ガラス、ラスター彩ガラス、ヴェネチアン・グラス、螺鈿細工など約90点を展示。
職人たちが探求した色彩と輝きの軌跡をたどり、神秘の光彩の世界をご堪能ください。
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)まで
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

マーブル装飾扁壺
(12~13世紀|シリアあるいはエジプト│早稲田大学 會津八一記念博物館 小野義一郎コレクション)

扁平形のガラス壺で、首部が上に向かって細くなっている。このような形状はイスラーム時代に普及した薔薇水を入れる容器によく見られる。琥珀色のガラス表面に白色のガラスを巻き付け、上下の方向に引っ搔く事で羽根のようなマーブル文を表現している。このような文様は紀元前1世紀頃まで東地中海沿岸で制作されたコア・グラスによく見られる装飾法で、吹きガラスの装飾にも受け継がれた。
この作品は表面の一部が銀化し、美しい輝きを放っている。
※10/14まで展示

■銀化とは
ガラスが地下水などの影響を受けて脱アルカリ化し、表面に雲母のように薄い膜が無数に生じる風化現象のこと。この膜に光があたると乱反射したり、干渉したりしながら、銀色や玉虫色に輝くので「銀化」とよばれる。古代ガラスが必ずしも銀化するわけではなく、長い時間と土中の条件が揃って初めて起こる。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

プロフィール

箱根ガラスの森美術館
箱根ガラスの森美術館
箱根ガラスの森美術館は、緑豊かな箱根仙石原にあるヴェネチアン・グラス専門の美術館です。

〒250-0631
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48
TEL:0460-86-3111
FAX:0460-86-3114

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