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展示作品のご紹介:花器

展示作品のご紹介:花器
(1905年頃|ボヘミア/レッツ工房│町田市立博物館所蔵)

これまでの3点の作品と異なり、虹色に輝くガラス表面の上からさらに無色透明なガラスを重ねて仕上げている。「ティタニア」と名付けられたこの装飾技法は1905年以降に多用された。「フェノメーン」装飾などが高く評価され1900年にパリ万博でグランプリを受賞したレッツ工房は、その評価に甘んじることなく、購買者を飽きさせないように新しい装飾を多数生み出し続けた。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
※2025年9月30日(火)は施設整備のため休館いたします。
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

展示作品のご紹介:花器

展示作品のご紹介:花器
(1900年頃|ボヘミア/レッツ工房│町田市立博物館所蔵)

ガラスは原材料の配合によって色が様々に変化するが、そのレシピは決して外部に漏れてはいけない企業秘密であった。現在では蛍光X線分析によってガラスがどのような元素によって構成されているかを知ることで、そのレシピを推測することが出来る。レッツ工房の作品は、地のガラスは鉛の含有量が少ないカリウム石灰ガラスで、表面の装飾には鉛や銀、スズが用いられていることが判明した。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
※2025年9月30日(火)は施設整備のため休館いたします。
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

展示作品のご紹介:花器

花器
(1897年頃|ボヘミア/レッツ工房│町田市立博物館所蔵)

ヨハン・レッツ・ヴィトヴェ工房は、チェコ南西部のクラーシュテルスキー・ムリーン(クロスターミューレ)にあったガラス工房。19世紀末から20世紀初頭にかけて、金属酸化物をガラスに塗布し熱することで虹色の光沢をもたらすラスター彩技法を用い作品を制作した。ラスター彩技法自体はすでに多くのガラス製造業者に知られていたが、レッツ工房は独自の配合を開発し1898年に特許を取得している。また、工房オリジナルの装飾を「パピヨン」(蝶の意)や「フェノメーン」(現象の意)と名付け販売した。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
※2025年9月30日(火)は施設整備のため休館いたします。
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/
銀化した古代ガラス、ラスター彩ガラス、ヴェネチアン・グラス、螺鈿細工など約90点を展示。

会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)まで
※2025年9月30日(火曜日) 施設整備のため休館いたします

展示作品のご紹介:花器

花器
(1902~1903年頃│ボヘミア、レッツ工房│町田市立博物館所蔵)
花弁に葉が巻き付いたような造形は、芸術作品の造形に植物や貝など自然物のモチーフを応用するアールヌーヴォー期の流行を反映している。デュッセルドルフ応用芸術美術館に所蔵されている類似の作品は口縁部が水平だが、この作品は花弁のように波状に加工され、より植物の造形に近づけられている。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
※2025年9月30日(火)は施設整備のため休館いたします。
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

ドルフィン形脚赤色コンポート
(19世紀|ヴェネチア/サルヴィアーティ工房)

ルビー・グラスと呼ばれ、金を用いて赤く発色させた金赤ガラスで作られたコンポート。金赤ガラスは17世紀初頭に出版されたアントニオ・ネリ(1576-1614)の『ラルテ・ヴェトラリア』( ガラス製造術)で紹介され、そのドイツ語訳を行なったヨハン・クンケルが実用化している。型吹きで菱形文が施された坏身は光を屈折させ、カットガラスのような輝きを放っている。坏身と台は、無色透明のガラスに金箔熔着し、ホットワークで制作された可愛らしいドルフィン形の脚でつながれている。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
※2025年9月30日(火)は施設整備のため休館いたします。
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

螺鈿細工五段重箱
(明治時代|日本│金子皓彦コレクション)
アワビの貝殻から精巧に切り出された貝片を用いた螺鈿細工の五段重箱。大小異なる貝片は均一な厚さに仕上げられ、茶色の漆で繊細に縁取られています。内側は黒漆で塗り上げられ、素材へのこだわりと職人技の精緻さが際立つ逸品です。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
※2025年9月30日(火曜日) 施設整備のため休館いたします。

アヴェンチュリン・グラス・ゴブレット
(1900年頃|ヴェネチア)
砂金のように輝くアヴェンチュリン・グラスを用いて制作した、線状模様のレース・グラスのゴブレット。
17世紀に発明されたアヴェンチュリン・グラスは、19世紀初頭にピエトロ・ビガリア(1786-1876)らの復元によって再度注目を集めた。19世紀中頃のサルヴィアーティ工房の作例に、この作品のような脚部に獅子文が型押しされたゴブレットが登場する。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
※2025年9月30日(火曜日) 施設整備のため休館いたします。

アヴェンチュリン・マーブル・グラス碗
(17世紀|ヴェネチア)
マーブル・グラスの表面に、アヴェンチュリン・グラスを熔着し、鉱石のなかで輝く砂金のような模様を表現している。マーブル・グラスは15世紀後半にヴェネチアの名工アンジェロ・バロヴィエール(1400-1460)によって発明されたと伝えられているが、アヴェンチュリン・グラスの発明は17世紀に入ってからのことであった。イタリアのガラス工芸史家ルイジ・ゼッキンの説によると、その発明はジョヴァンニ・ダルディウム(1586-1654)によるものだという。ヴェネチアのマーブル・グラス(カルチェドーニオ・グラス)は、当時のイタリアをはじめヨーロッパの人々が、ヴェネチアン・グラスの中で最も貴重視するガラス器の一つであった。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)

マーブル・グラス・デカンター
(16~17世紀|ヴェネチア)
15世紀末から17世紀にかけてヴェネチアで作り出されたマーブル・グラスは、色彩が微妙に変化する美しさが注目された。この独特の色模様は、ガラスに混入した銀イオンの熱による変化によって生じたもので、一種の耀変ガラスである。実際に原料代も高く、制作にも特別な仕様が必要であった。とくにヴェネチアのガラス工房では、この種のガラスを「カルチェドーニオ(玉髄)」と称して、極めて高い評価を与えており、光を透過すると美しい夕日のような赤色を発色する。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
https://www.hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

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箱根ガラスの森美術館は、緑豊かな箱根仙石原にあるヴェネチアン・グラス専門の美術館です。

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