Blog 箱根ガラスの森美術館ブログ

青貝細工花鳥図額一対
(明治時代|日本)
安政6年(1859)に横浜港が開港した。青貝細工は外国人に好まれ、始めの頃は産地の長崎や静岡から横浜へ運んで販売したが、のち主に静岡の職人が横浜に移り住み作るようになった。この作品は一対で尾長鶏が左は梅、右は桜の樹に羽を休める。鶏と樹と花はアワビの薄片の裏側に、赤は顔料、銀はスズの箔か粉末を塗って作られている。額縁に黒色の枝葉に桜の花を見ることができる。これは明治15年より判で押し漆塗仕上げにする透き絵技法で、横浜で行われた。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

青貝細工高卓
(江戸~明治時代|日本)
天板と台盤の上面には風情豊かな田舎屋風建物を描いている。屋根は月あかりに照り輝き、部屋には光が灯るがごとくそれを貝の輝きで表している。天板下の曲面には白銀色に咲き誇る梅花が連続して見られる。これは薄貝の裏に銀箔を貼り切り抜いたものである。その上部で天板につながる周囲に散りばめた青とピンク色の貝片は発色が良い、メキシコ産アワビを切り取ったと思われる。床の間や部屋の一画に置くだけで部屋の空気感を上質なものに変える力のある出来栄えである。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

2026年早春 所蔵作品展のお知らせ
「つむぐ、つなぐ、つたえる ヴェネチアン・グラスのDNA」
会期:2026年1月24日(土)~4月12日(日)

優れた吹きガラスの技術で芸術品としての価値を極めたヴェネチアン・グラス。
ガラス職人たちが生み出した装飾技法は、現代のガラス工芸へと続く基礎となりました。どんなに優れた技であっても、それを次世代へと伝えることの難しさに直面するなか、ヴェネチアン・グラスは、今日までおよそ1000年以上、そのDNAが脈々とつながれています。ヴェネチアン・グラスの技法は現在、世界各地でその技に魅せられた作家たちにより制作に取り入れています。ヴェネチアのDNAを受け継いだ作品は、本場ヴェネチアでも高く評価されています。
今回は、改めてヴェネチアン・グラスの伝統技法についても触れながら、ヴェネチアン・グラスに憧れてその技をつなぎ、つむぎ、つたえている現代作家にスポットをあて所蔵作品を紹介致します。また、ヴェネチアが発祥のガラスビーズで立体的な花を制作するビーズフラワーに魅せられ、唯一の後継者としてその技を託された、ビーズフラワーデザイナーの下永瀬美奈子氏の作品を特別に展示致します。現在、活躍している国内外の現代作家による、ヴェネチアン・グラスのDNAを未来へと伝える作品をご覧ください。

展示作品のご紹介:船形水差

船形水差
(16世紀中頃|ヴェネチア│推定:アルミニア・ヴィヴァリーニ作)
透明なガラスで制作された船形の装飾水差。古代から、天然の素材を基に作られていたガラスは、含まれている不純物による発色が原因で、決して無色透明ではなかった。ヴェネチアでは13世紀末頃にこの不純物による発色を抑えるために、消色剤として二酸化マンガンを添加して無色透明なガラスを作り出し、より芸術的な作品へと昇華させていった。この船形水差も、装飾に少量の色ガラスを使用し、透明さがより引き立つように工夫されている。船のモチーフの器は、遠方からの富を運ぶ象徴として人気があり、船形水差が生み出される以前にも、カトラリー入れなどとして貴族たちの宴席を華やかに彩っていた。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

クリスマス ギャラリートーク

「クリスマス ギャラリートーク」
開催日:2025年12月20日(土)、21 日(日)
時間:11:00~11:20、14:00~14:20
ヴェネチアン・グラス美術館入口に開始5分前までにお集まりください。

当館学芸員が美術館内の展示をご案内します。
(参加費無料 ※別途ご入館料が必要です)

展示作品のご紹介:獅子形水差

獅子形水差
(16世紀中頃|ヴェネチア)
ヴェネチアのシンボルである獅子の意匠を採って、水差形に作り上げた珍しい作品。尻尾の部分が欠損しているが、尻尾が注口部となっていた。元々金属製の脚台が付けられていたと考えられるが、こちらも今は欠損している。この作品と同形のレース・グラスの作品が、イギリスのジェームス・ロスチャイルド・コレクションに1点所蔵されている。ロスチャイルド・コレクションには、金属製の宝冠(後補)が付けられているが、この作品には、当初のままのガラス宝冠が残っている。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

熔着装飾香油瓶
(6~8世紀|シリア)
5世紀に西ローマ帝国が崩壊すると、東地中海のガラス製造技術の水準は徐々に低下していく。装飾の多様性が失われていくローマン・グラスの中で最も頻繁に使用された装飾が、ガラスの粘着性を利用して紐状のガラスを容器に装飾した紐装飾や熔着装飾である。ローマ帝国の支配下にあったシリアでは、水差の首やコップに紐を一重に巻いたものや、紐装飾を把手のように施した壺等が多く制作された。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

マーブル文長頸香油瓶
(1世紀|東地中海沿岸域│高砂コレクション®)
大理石や縞瑪瑙の文様をガラスで表現しようとしたものである技法は見た目より複雑で、現代でも再現するのは難しい。2色のガラスを熔かし合わせて宙吹きにより製作された。この技法は複雑であったためか、1世紀の限られた時期にのみ製作されてその後すたれてしまった。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

マガモ(オス)の構造色

当館のマガモ(オス)の頭部も、光の当たり方によって緑から紫へと変化する構造色を示します。
構造色とは、物質表面の微細な構造が光を反射することで生じる発色の仕組みです。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

モザイクトンボ玉
(紀元前1世紀~紀元後1世紀|東地中海沿岸域)
ローマ帝国時代にモザイク・グラス技法を取り入れたことで、ビーズの世界は大きく発展した。色ガラスを駆使し、花や格子、人物の顔、鳥など様々なモチーフで、美しいビーズが次々と作り上げられてきた。このモザイク文ビーズもその一つ。色ガラスをモザイク文に組み合わせたガラス板を加熱して柔らかくし、ビーズ本体に巻き付け、形を整えて制作した作品である。

特別企画展「軌跡のきらめき ~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
会期:2025年7月18日(金)から2026年1月12日(月・祝)
詳細:https://hakone-garasunomori.jp/event/archive/exhibition_2025/

プロフィール

箱根ガラスの森美術館
箱根ガラスの森美術館
箱根ガラスの森美術館は、緑豊かな箱根仙石原にあるヴェネチアン・グラス専門の美術館です。

〒250-0631
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48
TEL:0460-86-3111
FAX:0460-86-3114

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